『狼が啼いた夜』田村道子

978-4-7904-1900-6

2,750円(税込)

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風の実が落ちて梅雨入となりにけり
天川村(てんかわ)の風の実を呼ぶ青田かな

風の実とは見事な鄙言葉。風が熱しおだむことで雨を呼んだものか。吉野の地霊が雨粒ひとつひとつにも籠る青田が目に浮かぶ。さすがにと言おうか、田村道子の近詠を私は虚を突かれた思いで、幾度も反芻した。(宮坂静生「序文」より)