著者:池田和彦
著者第一歌集。
「りとむ」所属。
山峡はしずかなる舟夜もすがら星のめぐりを漕ぎすすむなり 青春期、脳病理学の道に志したそのとき、斎藤茂吉を遥かに仰ぐ思いは兆していたに違いない。医師そして研究者たる歳月の傍ら、五音七音への親しみと意欲を池田和彦氏は保ちつづけた。そしてここに第一歌集が誕生する。
多くの命と向き合い、死を見とどけてきた。診るという営為は命を仰ぐこと。漕ぎすすむ舟が舳先に空を仰ぐように。その心がしずかな澪をなしている。
(今野寿美)
旧商品コード:shizukanarufune