著者:工田美彦
遺歌集。
夕ざくら老書生鼻むず痒し前衛といふは何なりしかな体制にも流行にも靡くことのない工田さんらしさを、それとなく先導しているこの一首は、巻頭一連にあって、『一身の秋』の読み応えをじゅうぶん予感させもする(今野寿美・本書跋「からっと渋い男歌」より) 戦争の語り部はみなをみなにて男の影のうすき八月 フレンドリー・ファイアは誤爆 戦死せる米兵の母慰み難し 勅撰集の腐れてゐたるところより遠くはゆかず戦後派の歌も 哲学科出身なれどわたくしは哲学入門書今も買ひます 悪友とふ男の特権失ひて奥歯抜けたるままの年月
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